口頭弁論の概略と公判日程
横浜地方裁判所
2007年(平成19)12月17日に6130名で横浜地裁に提訴し、2008年(平成20)4月21日に924名の追加提訴を加え、総原告数7054名で裁判は始まりました。

第26回口頭弁論(2014年(平成25)9月2日をもって、横浜地方裁判所での審理は終了しました。

横浜地裁判決→2014年(平成26)5月21日判決言い渡し
第1回進行協議 2008年5月8日 ・第1回口頭弁論の内容について
・現地検証の申し入れ
第1回口頭弁論 2008年5月12日 弁護団々長・弁護団副団長の意見陳述、さらに嘉手納基地・普天間基地・横田基地・小松基地の各訴訟弁護団から応援陳述、そして原告意見陳述として、原告団々長・激甚地域より大和市主婦・爆音記録をつけている藤沢市男性・新たに区域内に指定された町田市男性が裁判長に訴えました。
第2回進行協議 2008年6月16日 今後の裁判進行と次回口頭弁論について
第3回進行協議 2008年7月23日 ・第2回口頭弁論の内容について
・今後の裁判進行について
第2回口頭弁論 2008年7月30日 追加提訴分訴状・答弁書陳述、現地検証の必要性と早期実施の要請、行政訴訟の被告国への反論、そして原告意見陳述で追加提訴原告から2人(相模原市主婦が介護ヘルパーの立場で、町田市男性が新区域居住者の立場で)
第4回進行協議 2008年9月17日 今後の裁判進行と次回口頭弁論について
第3回口頭弁論 2008年10月6日 原告意見陳述として大和市男性(4世代にわたる原告として)、被告国の書面への反論、防音工事の効果の不十分さ、行政訴訟に関する弁論
第5回進行協議 2008年11月10日 今後の裁判進行と次回口頭弁論について
第4回口頭弁論 2008年12月10日 将来請求、行政訴訟に関する弁論、提出したデータ資料の説明、前日に起きた米サンディエゴ軍用機墜落事故にも触れた。原告意見陳述として大和市女性(母親の立場で)。
第6回進行協議 2009年1月16日 今後の裁判進行と次回口頭弁論について
第5回口頭弁論 2009年2月23日 書証の確認。差し止め訴訟についての応酬。今後の立証計画について。原告意見陳述は大和市男性(激甚地域)
第7回進行協議 2009年3月18日 今後の裁判進行と次回口頭弁論について
第6回口頭弁論 2009年4月22日 民事・行政での差し止め訴訟の正当性についての主張。原告意見陳述は大和市男性(激甚地域)
第8回進行協議 2009年4月22日 5月18日予定の現地進行協議について詳細打ち合わせと今後の進行について
現地進行協議
(第9回進行協議)
2009年5月18日 大和市内、基地南側で非公式の現地視察(引地川公園ゆとりの森、大和市福田の原告宅、ちびっ子広場)自衛隊対戦哨戒機P-3C、1機が飛んだだけだった。
第7回口頭弁論 2009年6月22日 5月18日の午後から行われた現地進行協議当日の午前中の騒音監視測定行動のデータを報告書として提出、補足説明。原告意見陳述は綾瀬市男性(違法をくり返す国の対応への怒り)
第10回進行協議 2009年7月8日 防衛施設庁方式と環境省方式のW値算定についての確認と今後の進行について
第8回口頭弁論 2009年9月16日 「爆音の音質と日常生活に及ぼす影響」「厚木基地における自衛隊の管理権」などについて被告国の主張に対し、原告弁護団が反論。原告意見陳述は藤沢市男性(強烈な爆音に悩まされているところにまたNLP通告が出て一段と酷くなる)
第11回進行協議 2009年9月16日 証拠作成の進捗状況確認と今後の進行について
第12回進行協議 200年10月21日 証拠書類の事務的確認と今後の進行について
第9回口頭弁論 2009年12月2日 危険接近・米軍機の運航差し止めに関する弁論。
被害陳述書611名分をを提出。
原告意見陳述は大和市在住男性(激甚地域より爆音被害は決してささいなものではない)
第13回進行協議 2009年12月16日 双方が提出済みの準備書面への今後の反論意思確認と書面の整理。原告本人尋問の時期など今後の進行について
第10回口頭弁論概略 2010年2月17日 裁判長交代のため、これまでの進行に関する弁論更新を行った(民事、行政)。
民事訴訟は、被告国の準備書面(受忍限度、共通被害、W値)に対する反論。健康被害についての準備書面の補足弁論。行政訴訟からは、@差止め請求の趣旨確認を改めて訴える弁論A法定外抗告訴訟として行政事件訴訟法に基づき審理されるべきである旨の弁論。原告意見陳述は大和市内の女性(主婦の立場から妻として親としてどうすることもできない現状)が切なる願いを訴えた。相変わらず被告国の弁論はない。
第14回進行協議概略 2010年2月17日 提出された準備書面の事務的確認と提出済みの準備書面への今後の反論意思確認。
第15回進行協議 2010年3月24日 証拠書類の進捗確認と今後の進行についての上申書を提出するも裁判所は採用せず。
第11回口頭弁論 2010年4月26日 墜落・部品落下事故、振動、排ガス被害に関する書面を提出。人口密集地にある厚木基地周辺は事故の危険性があることを強く主張。振動については家屋の影響ではなく、家屋内の居住者に対する不安感が問題であると訴えた。原告代理人が原告と直接面談して作成した居住陳述書2001名分を提出。原告本人尋問5名を申請。行政訴訟では速やかに本案審理に入るよう求めた。原告本人尋問は大和市内の男性(幼稚園長の立場から園児が恐怖を感じる様子をエピソードや行事の妨害など)・・被告国は書面の提出のみ
第16回進行協議 2010年4月26日 原告本人尋問の詳細打ち合わせ。今後の期日日程を調整。
第17回進行協議 2010年5月24日 原告本人尋問2名を追加申請。9月の期日より証拠調べ(原告本人尋問)に入る(2名を決定)。今後の進行について。
第12回口頭弁論  2010年6月30日 国主張の「危険への接近の法理」に対する書面を第9回に引き続き提出。衡平の理念に反した主張であること、損害の認識は推定できないこと、被害は実際に住んでみないとわからないことなどを強く主張。行政訴訟では、被告国の主張(日米合意)の矛盾を指摘、原告の書面の内容に触れず無視している、と数名の原告代理人が次々に訴えた。被告国は書面の提出のみ。原告意見陳述は大和市内の男性(4月に急逝した厚木爆同委員長が待ち望んでいる静かな空を生きてみることができなかった本人の悔しさ、被害状況など)
第18回進行協議 2010年7月28日 原告本人尋問10名を申請(4月26日の申請5名と5月24日の申請2名を撤回)書面の提出時期の確認と今後の進行について。次回9月6日の口頭弁論より原告本人尋問を予定通り行うことを確認。(2名ずつ)
第13回口頭弁論
2010年9月6日  今回より原告本人尋問が始まった。
大和市内(90W値)の主婦(自営業)は、爆音によって仕事(電話での注文や商談)が中断されて大変困っていることなどを主張。大和市内(85W値)の盲学校勤務の視覚障害者(男性)は、周囲の生活音すべてが情報となるが、爆音によってかき消され、方向感覚やリズムが狂わされ、非常に困っていることなどを主張した。これに対し被告国側の反対尋問の内容は、何の目的での質問なのか不明で、内容のないものばかりだった。
書面は行政訴訟から原告側より国の書面に反論する書面2つ、被告国からは補填の書面と民事書面が提出された。
第14回口頭弁論 2010年10月20日 提出された書証〔防音工事データ含)の確認の後、原告本人尋問が始まった。
大和市内(90W値)の主婦は、持病の狭心症の発作が爆音によって起こる不安・恐怖を体験談を交えて主張。大和市内(85W値)の男性(90才・厚木爆同元書記長)は、50年間の運動の内容や集団司令部が来るときに市民代表として参加した話し合いは和やかに行われたこと、主席幕僚が夜中の米軍の着陸に関しきっぱり断ったことなど、克明に証言。これに対し被告国側の反対尋問の内容は、前回同様、何の目的での質問なのか不明で内容のないものばかりだった。
第19回進行協議 2010年10月20日 口頭弁論終了後に行われ、今後出される双方の書面の提出時期の確認と今後の進行について確認した。
第20回進行協議 2010年11月22日 提出された書証の確認。今後出される双方の書面提出時期の確認と今後の進行について
第15回口頭弁論 2010年12月20日 提出された書証(準備書面、居住陳述書3438名分)の確認の後、原告本人尋問。
大和市内(85W)の看護師の女性は、仕事中に飛行機が飛んで仕事がスムーズに進まないことや、自身の病気のことなど切実に訴えた。大和市内(90W)の男性は、夜間、早朝のエンジンテストで睡眠不足が続き困っていること、難聴でも鼓膜に響く爆音は非常にうるさいことなど適切に訴えた。
被告国から提出された「昼間騒音控除後のW値についての報告書〔氏名をあかせない専門家の意見」について原告側は、肩書きや氏名をあかせない理由をしめす求釈明要請書を提出した。
第16回口頭弁論 2011年2月2日 双方から提出された書証などを確認した後、原告本人尋問が始まった。
綾瀬市内(75W値)のタクシー乗務員(男性)は、深夜遅くまで乗務し、明け方帰宅して眠りにつくが飛行機の爆音で起こされてしまうことがある。安全な輸送を提供する立場で必要な、健康を保たなければならず、そのために睡眠を充分取り、疲れを残さないようにしたいがそれができずに迷惑している、と主張。相模原市南区内(75W値)の教会牧師兼教会幼稚園園長の男性は、牧師の重要な役である「説教」が爆音によって邪魔されることがつらい。沈黙の時間(約5分)も静寂が破られ、心が乱されてしまう。園庭で元気に遊ぶ園児を爆音が襲うと健やかな成長が妨げられるのではないか、と悲しくなる、と切々と訴えた。被告国側の反対尋問にも適切に応対した。その後、前回原告側が提出した求釈明要請書(「専門家意見」の専門家の名前を明らかにせよ)について、被告国の提出した回答が基本的に変わらないことについて原告側は「責任ある弁論を」と迫った。
第21回進行協議 2011年2月2日 口頭弁論終了後に行われ、今後出される双方の書面の提出時期の確認と今後の進行について確認した。
第22回進行協議 2011年5月23日 今後出される双方の書面の提出時期の確認と今後の進行について確認した。次回口頭弁論は7月4日に行い、原告本人尋問を予定。
第17回口頭弁論 2011年7月4日 提出された書証の確認の後、原告本人尋問が始まった。
大和市中央(85W値)の男性(大和育ち、3世代家族、勤務地大和市上草柳6丁目)は早朝、深夜のエンジンテストに悩まされ続け、睡眠時間を削られ次の日の仕事に非常に差し支える「ミスをしないように余計な気を遣い、また睡眠不足による体力がもつかどうか不安」と主張。飛行機がうるさいと耳をふさぐが、指で耳をふさげばいいというものではない、と力強く訴えた。藤沢市下土棚(85W値)の県立高校教員(女性)は、OC(高等学校英語オーラルコミュニケーション)の授業中に飛行機が飛ぶと、CDの音や声が聞こえなくなり、会話を中断させられるが、その後再開したとき、どこまで進んでいたかわからなくなり最初から始めざるを得なくなり、その時生徒の集中力は途切れ、元に戻すのが大変である、と訴えた。また子供が小さいとき外で遊ばせたが、上空を飛ぶ飛行機が墜落や部品落下するのではとの恐怖から、いちいち飛行機を目で追っていた、とも主張。反対尋問で質問されたことにも「回数の問題ではない」ときっぱり断言した。
第23回進行協議 2011年7月4日 口頭弁論終了後に行われ、裁判所は原告側が申請していた証人尋問を採用。次回期日に主尋問と反対尋問の両方が行われる。今後出される双方の書面の提出時期の確認と今後の進行について確認した。原告側はもう一人の証人尋問を申請。
第24回進行協議 2011年9月5日 居住陳述書の提出状況の確認や今後の書面・弁論など確認。現地検証の申請を再度行うも、裁判所は採用せず。
第18回口頭弁論 2011年11月7日 提出された書証の確認の後、、原告側証人尋問が始まり、横浜国立大学の田村明弘名誉教授が法廷に立った。1976年防衛施設庁(当時)周辺コンター作成基準委員会の専門委員になり、コンター作成に携わった一人として、軍用飛行場周辺の騒音評価基準「うるささ」の定め方(防衛施設庁方式W値)について証言してもらい、国の主張(昼間、仕事や学校などで騒音区域外に出ている人は昼間の騒音を受けていないのだから、住民に共通する被害は「夜」だけだ)は評価方法としては矛盾する、と立証。また、W値には昼間いない人たちも含んで算定されていること、成田空港周辺住民を対象に行った「騒音健康影響調査」(1999年〜2000年)の結果からも在宅時間の長短は住民反応と全く関係ないことなどをきっぱり断言した。国の反対尋問にも「例えば自治体に住民税を払うのに在宅時間の長短に関係なく一律である」と終始落ち着いて答えた。
最後に原告弁護団から公共性についての書面を提出したので補足の弁論を行い終了した。
第25回進行協議 2011年11月7日 松井教授の証人尋問(健康被害について)が採用され、次回の口頭弁論で行われることになる。国側は環境庁方式で算定したW値から外れた中から抽出した8名の原告について尋問申請した。原告側の意見を今後提出する予定。
第26回進行協議 2011年12月12日 これまでに出された書面の整理、双方の今後の反論意思確認と進行について。
第27回進行協議 2012年2月15日 原告より本日含め数回にわたる現地検証申請に対し、裁判所は3年前と同じ程度か、少しプラスした位の進行協議というかたちで現地に来ることを決定。5月に実施する予定。
また、原告弁護団は現地検証ができない場合に備え、DVD上映での検証申請も行った。採用するかは、5月の現地進行協議の結果を見て決める。
また、原告弁護団は、被告国が11月に尋問申請した、【環境庁方式で算定したW値75から外れた中から抽出した8名】の原告本人尋問(受忍限度)についての意見書を提出した。居住陳述書や防音工事の個別書類はおおむね6月をめどに提出する予定である旨報告した。次回の進行協議は口頭弁論(松井証人の尋問)終了後、行う予定。
第19回口頭弁論 2012年4月25日 提出された書証の確認の後、原告側証人尋問が始まり、京都大学大学院の松井利仁准教授が法廷に立った。
WHO欧州地域事務局「環境騒音による疾病負荷」について「DALY」という指標(死亡のみならず、死に至らない疾患も含めて、健康リスクを評価得するある地域のある1年間に損なわれる健康の量)をデータにより算出し、厚木基地周辺(神奈川県のみ)でのDALYにより、虚血性心疾患・子供の記憶力、読解力の低下・高度の睡眠障害・高度の不快感などで、航空機騒音により健康損失が生じていることを証言した。特に子供(7〜19歳)の記憶力、読解力の低下では、厚木基地周辺に住んでいる2万人以上の子供が値し、高度の不快感は約15万人が影響を受けているというデータが出た。また、環境省の「航空機騒音による環境基準」に地域類型が設定されていることや、基準に睡眠障害の影響など考慮されていないことについて、「騒音は健康に悪影響を及ぼす環境要因であり、他の有害化学物質などと同様、一律の基準値にすべきだ。健康損失が今後続くと被害は更にひろがる」と断言した。
第28回進行協議 2012年4月25日 5月16日の現地進行協議の打ち合わせ。ジョージワシントンの出港状況をみて判断する。今後の書面の提出時期など双方より確認
現地進行協議
(第29回進行協議)
2012年5月16日 午前9時30分より開始。基地北側の大和市ふれあいの森草柳広場→基地南側大和市引地川公園ゆとりの森→大和市上草柳みどりの広場→大和市福田ちびっ子広場。
艦載プロペラ機E-2CやC-2Aのタッチアンドゴー、P-3Cや輸送機、ヘリコプターなどの離着陸の様子を視認した。艦載ジェット機は飛ばず・・・
第30回進行協議 2012年6月11日 提出された書証の確認。原告弁護団からは準備書面「危険接近論反論」と「用途地域論」、5月16日に行われた「現地進行協議期日報告書」、「結審までの日程に関する意見書」を提出。被告国からは「求釈明(19)」が提出された。原告弁護団から、5月16日の進行協議期日で米軍ジェット艦載機が1機も飛ばなかったことについて、「裁判官に100dBを超えるジェット機の音をやはり体感してもらいたいので今後も検証の申請はし続けるが、ジェット機の音を聞くことが不可能な状況になってしまうならDVD検証を実現して欲しい」と補足した。
第20回口頭弁論 2012年7月25日 期日間に原告が提出した書面について、原告弁護団がそれぞれ補足陳述を行った。
@準備書面(24):昼間騒音控除論・施設庁方式W値について「国自身が行ってきた施策(防音工事など)を自ら否定する暴論である」(福田弁護士)
A準備書面(23):用途地域類型論について「航空機騒音は”空からの侵害行為”であり、騒音被害の救済は地域類型に関係なく、等しく認められるべきである」(北村弁護士)
B準備書面(22):危険接近論について「被告の提出してきている求釈明は一般常識、理屈からかけ離れたものが多数あり、回答するまでもなく、危険への接近の理論が適用される余地がないことは明らかである」(大森弁護士)
C名古屋大学松井名誉教授意見書:国際法原則の無理解について「厚木飛行場は地位協定第2条4項(b)により米軍に一時使用が認められるものではあるが、日本の施設・区域である以上、米軍の使用は日本の管理下に行われるものである」(関守弁護士)
被告の弁論は一切なし。
第31回進行協議 2012年7月25日 原告側主張として、個別の防音工事書類や陳述書は10月頃までに提出予定である。また「受忍限度」、「危険への接近論」については、すでに書面で立証済みであるので、補充があるとすれば最終準備書面で補充することなどを報告。。
国側主張は、防音工事の効果を立証するために検証申立を行う予定であると報告。すると裁判所から「検証はいつ頃か。飛行機は飛びますか。別途実施計画を提出して下さい。」と確認された。
第21回口頭弁論 2012年10月1日 期日間に原告が提出した書面について、原告弁護団がそれぞれ補足陳述を行った。
@準備書面(25):5月16日に行われた現地進行協議と5月22日〜24日に突如行われた厚木基地での連続離着陸訓練について「5月16日の現地進行協議ではジェット艦載機が1機も飛ばず、解散直後にスーパーホーネットが離陸した。1週間後の5月22日〜24日は朝から夜遅くまで連日100デシベル以上の爆音を浴びせた。特に23日は県の設置北1キロで100デシベル以上が194回測定された。裁判所には引き続き実際の被害の状況を生で感得頂きたい」(林戸弁護士)
A準備書面(26):差し止め訴訟の意義について「人格権として平穏に生活する権利、あるいは生命、健康を守られるべき権利など憲法上の権利に基づいての差止め訴訟である。また、国自身の出した環境基準(公的基準)値は最低限守らなければならない数値である。それを超えることは、差止めを認める大きな要素である。厚木基地周辺住民は、長年にわたり、一般に差し止めが認容されるレベルを遙かに超える甚大な被害を受けているにもかかわらず、差し止め判断という司法の救済を受けられず、放置され続けている。」(佐賀弁護士)
B9月21日に差し止めの追加提訴をした9名の原告について「飛行を差し止めてもらわなければ、生命の危険を招きかねない疾病の原告である」(佐賀弁護士)
C防音工事:築年数がたつなど防音工事の部屋を取り壊して建て替えた原告について「今回は市外原告について取り壊して建て替えた(=防音工事の部屋は残っていないこと)証拠として原告の登記などを提出する。今後、大和市内を提出する予定である。」(城田弁護士)
第32回進行協議 2012年10月1日 被告側主張:今回提出した防音工事の検証申請のほか、今後危険接近の本人尋問を申請する予定である。
原告側:陳述書の残り(主に遠方への転居者)や防音工事(大和市内、リフォームを行った原告への陳述書)など年内までには提出する予定である。
第33回進行協議 2012年11月5日 原告側は前回の進行協議で約束した通り、大和分の防音工事個別データを提出した。裁判所からは、次回口頭弁論(12月10日)までに提出する予定の書面について双方に確認。
結審に向けた最終準備書面の着手についても触れた。来年3月までの期日を決め、終了。
第22回口頭弁論 2012年12月10日 提出された書証の確認の後、原告弁護団による書面の内容説明を行った。
1.すでに提出している「松井芳郎名古屋大学教授の意見書」(=国際法の諸原則や条約解釈に基づいて厚木飛行場の法律関係を明らかにし、厚木基地第1次訴訟最高裁判決の誤りを解明)に基づき、厚木基地の滑走路等部分は、日米地位協定2条4項(b)(=日本側の管理権)が適用され、米軍に対し、使用を許可するか否かを決定する立場にあることを明らかにした。
2.行政訴訟訴えの追加的変更については、訴状記載の通り航空機の運航の差し止めを求めるものであるが、予備的請求として付け加えるものとして、@航空機騒音そのものの発生防止をし、原告ら居住地に訴状記載の騒音を到達させてはならないこと、A被告国が、騒音を到達させてはならない義務があること、B原告らがこれを受忍する必要がないこと、の再確認を強く求めた。
3.「岡田正則早稲田大学教授の鑑定意見書」の内容説明では、@基地騒音問題は憲法32条に違反するもので、違法判決が繰り返し出されているにもかかわらず国はそれを放置、違法状態の司法的救済方法がないことが問題であること、A民事訴訟としての差し止めを否定するものではなく、解決の道筋として行政救済も可能であること、B行政訴訟法が改正され、国民の救済拡大に対する措置が増えたこと等の内容が弁論された。
被告国は、準備書面や人証申請、危険接近の求釈明を提出したが弁論はなかった。
第34回進行協議 2012年12月10日 今後提出予定の書面やデータの提出時期について再度双方に確認し終了
第35回進行協議 2013年1月29日 裁判所から、結審までに提出する書面の双方の進行状況について聞かれ、原告側からは、次回口頭弁論で、健康被害についての書面、損害賠償額増額論についての書面を提出し、補足弁論を予定している旨報告しました。また、提訴時に提出済みの原告目録の訂正版を次回口頭弁論で提出することも申し添えました。国側からは、防音工事の書面と昨年12月10日に原告側が提出した大学教授意見書の反論書面を提出する、と報告されました。
結審日の具体的な進行について裁判所から聞かれ、原告側よりこれまでの訴訟の結審日の行程について簡単に述べました。
第23回口頭弁論 2013年2月27日 提出された準備書面について原告弁護団が内容説明を行った。
1.準備書面28(低周波)「厚木基地周辺住民は、ジェット機等の騒音と同様に高レベルな低周波音にさらされている。低周波による環境基準はないが、2012年8月に厚木基地周辺で2回行った調査で、参照値といわれている値を遙かに超えていた。ジェット機のやかましさと相まって、プロペラ機による不快な低周波音に悩まされて続けている」とプロペラ機、ヘリコプターから出る不快な低周波について弁論。
2.準備書面29(健康被害)「厚木基地の航空機騒音によってどれだけの健康が損なわれているか、先の京都大学松井証人により明らかにされたが、原告の一部、110名の『診断書』とともに提出し、改めて原告の健康喪失の実態を明らかにした。
3.準備書面30(賠償額)「航空機騒音の損害賠償認容額は数十年もの間、75を超える被害住民に対し月額3000円を基礎額として採用してきた。これは一日当たりわずか100円足らずの賠償額に過ぎず、爆音による人格権侵害により生じる慰謝料として合理的根拠を有するものではない。厚木基地の航空機騒音は、民間空港ではあり得ない騒音であり、住民に与える多大な影響(爆音被害、健康損失、墜落の危険ほか)、被害の重大性からみれば、航空機騒音の慰謝料は根本的に見直されなければならない」と強く訴えた。
第36回進行協議 2013年2月27日 双方書面の進行状況を確認。現地検証を5月に実施することが決定。
第37回進行協議 2013年3月21日 現地進行協議の内容や日程調整と結審に向けての書面の準備について
第38回進行協議 2013年4月25日 現地進行協議を5月9日に実施することを決定、当日の行程について協議
第24回口頭弁論 2013年5月8日 準備書面31(相互保証)の補足弁論、「被告国が『外国籍の原告らについて国家賠償法6条の相互保証の要件を満たさない』との主張に対する反論として、国家賠償法第6条の存在意義が失われていること、母国について相互保証が否定されないことなどから、一個人に責任を求めることはあり得ず、論じること自体が不合理である、と主張した。
行政準備書面18の補足として、「国の答弁書では『W値は、常時及び即時に過去1年間の数値を把握できるものではない』と主張しているが、被告の保有する資料によりW値はひび算定できるものである。以上のことからW値を75以下に保つ施設管理は可能である、と強く主張した。
行政準備書面19の補足として、先に提出済みの松井名古屋大学名誉教授の意見書に基づき、滑走路等部分は日米地位協定2条4項(b)が適用されるものとして、我が国が管理権を有し、米軍に対して使用を許可するか否かを決する立場にあることを、民事裁判同様に改めて主張した。
第39回進行協議 2013年5月8日 翌日の現地進行協議の再確認と、今後提出される書面の確認
第40回進行協議 2013年5月9日 現地進行協議
第41回進行協議 2013年6月10日 結審に向け、双方の準備状況を確認
第25回口頭弁論 2013年7月8日 1.5月9日に実施された現地進行協議(事実上の検証)の報告
2.6月30日、7月1日の艦載ジェット機による深夜飛行について、自治体の飛行記録データと新聞記事を提出し、協定違反であることを強く訴えた。
第42回進行協議 2013年7月8日 双方の最終準備書面の進捗状況を確認し、9月2日に結審することを決定した。
第43回進行協議 2013年8月28日 今後の進行協議の持ち方、結審日の流れについて確認。
第26回口頭弁論
(結審)
2013年9月2日 ■原告意見陳述(4名)
1.ケアマネージャーで健康被害を持つ主婦(大和市中央)
2.夫婦で焼き鳥屋を営む女性(大和市南林間)
3.米軍機が町田(JR町田駅)付近に墜落した時、その場にいて以来墜落の恐怖を感じている主婦(座間市)
4.2012年2月8日に米軍機プラウラーから部品が落下した畑の代表者(大和市中央林間)
■他基地弁護団より応援陳述(5名)
嘉手納/普天間/岩国/小松/横田
■弁護団による最終意見陳述(18名)
・航空機騒音の状況
・航空機事故の危険
・W値と昼間騒音控除後W値の誤り
・低周波音の発生と被害
・航空機騒音による被害、健康の被害
・健康被害以外の航空機騒音による被害
・本件侵害行為の違法性について
・差止容認判決の必要性と民事訴訟としての適法性
・米軍機に対する差止請求が可能かつ適法であること
・損害賠償額の増額の必要性
・将来請求認容の必要性
・住宅防音工事その他の周辺対策について
・危険接近について
・行政訴訟提起の意義について
・公権力の行使(自衛隊機、米軍機)、処分の違法性
・重大な損害
・当事者訴訟について
・おわりに
中野弁護団長はおわりに、「人口数百万人が居住する大都会の中に、激しいジェット戦闘機訓練が日常的に行われている地域は、世界中に他に存在しない。民主主義国家としての役割(国民の権利・福祉を擁護し、国民の平和的生存を確保すること)とする行政(執行権)が国民の権利侵害を全く放置しているから、国民は最後の拠り所として、司法に救済を求めざるを得ない。裁判所は、基地行政の前進に民主的統制をもたらす歴史の審判に耐える判決をされるよう要請し、最後を締めくくった。
第44回進行協議 2013年10月15日 転居・死亡原告の一覧表の取扱について協議
第45回進行協議 2013年12月19日 最終転居・死亡原告の附票・除票請求、一覧表等の書式について協議
第46回進行協議 2014年2月6日 W値(みなし・旧W値)の扱いについて協議、一覧表等の進捗状況報告
判決言い渡し期日については、1ヶ月前までには告げてもらうよう裁判所に要請
第47回進行協議 2014年3月12日 原告側からの居住一覧表、別表は3月11日に提出。被告はそれを確認する作業に3月末までかかる予定。判決言い渡しについては現時点で正式決定できず、5月中旬以降となる。(正式決定は言い渡し日の1ヶ月前あたり)