2024.10.30 キーン・ソード抗議

10月16日から11月2日にかけて行われている日米合同統合訓練(キーン・ソード)に対し、抗議するため神奈川平和運動センターや第五次訴訟団など関係団体から7名が南関東防衛局へ出向き、抗議と申し入れを行いました。南関東防衛局では4名の局員が対応しましたが、キーン・ソードの申し入れに対しては、政府の許可のもとに行っていることであり、こちらでは止められないが、住民に迷惑が掛からないよう努力している、と答えまるで他人事でした。その他に最近発生したヘリコプターの不時着事故に対しても、回答は保留させてくださいというばかりで、責任ある回答は得られませんでした。海老名の事故機は修理不能で厚木基地から輸送機で回収されましたが、そんな事故機が今まで飛びまわっていたことに強い不信感を持っていることを告げて申し入れを終えました。

 

2024年10月30日

南関東防衛局長

末富 理栄 様

 

厚木基地爆音防止期成同盟

委員長 石郷岡忠男

第五次厚木基地爆音訴訟原告団

団 長 大波 修二

原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議

共同代表 高久 保

神奈川平和運動センター

代  表 福田 護

 

日米共同統合演習(キーンソード)の実施に抗議し、

住民が安全に暮らすことができる基地行政を行うよう求める申し入れ書

 

基地周辺住民・自治体と、防衛本省との連絡調整業務における尽力、ご苦労様です。とりわけ、私どもの要望・申し入れにその都度対応していただき、本省へ報告していただいていることに感謝申し上げます。

さて、去る9月26日付統合幕僚監部のプレスリリースおよび神奈川県内の基地における訓練の概要を貴職から示していただきましたが、驚くことばかりでした。

神奈川県及び基地関連市町村では、基地の整理・縮小・返還をうたうと同時に、住民への被害を可能な限り減らしていくよう、常に貴職に申し入れているかと思います。ところが、今回の訓練計画は、厚木基地の騒音被害を放置するだけでなく、基地をほかの目的で活用するという内容でした。

まず、哨戒機の訓練拠点としての活用ですが、この2,3年特にその傾向が進み、米海軍のP8の冬季における常駐、さらにオーストラリア、カナダ、インドなどからも共同訓練と称して、年に1,2度飛来してくるなど、使用頻度が高まっています。離着陸機が多くなるということは、騒音も増加し、事故の危険性も高まることにつながり断じて容認できません。実際に演習期間中、厚木基地から哨戒機P1の深夜・早朝の離陸を確認しています。通告では、土日深夜も飛行するとありますが、地方防衛局としては、それを思い止まるよう、統合幕僚監部に申し入れるべきではなかったでしょうか。

また、中部高射群高射部隊によるパトリオットミサイルの配置は、名目は基地の警護としていますが、ミサイル発射装置を置くことで相手国から標的とされ、住民への被害が想定されることとなります。住民に危険が及ぶような訓練は許されることではありません。

今回の統合演習のプレスリリースは「力による一方的な現状変更は断じて許さない」という勇ましい言葉で飾られていますが、「力による現状変更に対して力で応える」という論法は、これまで数限りなく軍事力行使の言い訳に使われてきました。今も、ウクライナで、そして中東で、その理屈によって多くの犠牲者が生み出されています。今回の演習の主たる場所となる島しょ部では、理由はどうあれ、ひとたび衝突が起きれば住民の犠牲は計り知れません。

住民の声を常に聴く立場にある貴職はその危険性を直接感じることができるはずです。貴職の任務は、演習の内容を伝えることではなく、プレスリリースで言うところの「抑止力・対処力の強化」が、住民の安全につながらないということを本省に進言することです。

住民の安全を守るということで看過できないことが、直近3か月で2度起きています。それは、米軍ヘリコプターの緊急着陸です。8月3日に米海軍のMH53Eが海老名市内の水田に、10月10日には、同じく米海軍のMH60Rが茅ヶ崎海岸に緊急着陸しました。いずれも基地を離陸して直後のことです。その事故についての詳細な説明も、また謝罪の言葉も聞いていません。緊急着陸が、墜落事故の一歩手前の事態であることは、昨年11月の、CV22オスプレイの屋久島沖での墜落事故で明らかになっています。自衛隊機の場合は、どの部分の警告ランプが点灯したかという説明があります。米軍の場合も少なくともそのような報告がされるべきでしょう。

そして、今回の演習中、危惧していたことが起きました。陸上自衛隊オスプレイの緊急着陸そして離陸時の事故です。屋久島沖事故以来、オスプレイの使用は限定されていたはずです。つまり安全性に不安があるということを米軍ですら認めているのです。沖縄県知事は、演習にオスプレイを使用しないよう事前に要請していました。ここでも地方防衛局は地元の要請に耳を傾けるべきだったでしょう。

厚木基地周辺でも横田基地のCV22などの飛行があり、陸上自衛隊のオスプレイも東京湾から、三浦半島近くを飛行しています。オスプレイの事故は他人事ではありません。今回の2件の事故の詳細と原因を明らかにするとともに今後の飛行を停止するべきです。

 

以下に、あらためて申し入れ項目を列挙します。

  • 日米共同統合演習を取り止め、住民の安全を第一に考えた外交主体の問題解決方法に切り替えるよう防衛本省に進言すること。
  • 厚木基地において新たな機能を付与するような運用を行わないこと。
  • 演習の名のもとに深夜早朝の飛行を行わないこと。
  • 厚木基地の整理・縮小・返還に今後も取り組むこと。
  • 8月及び10月に起きた米海軍ヘリコプターの緊急着陸について、その原因とその後の対処について、米軍から説明させること。
  • 今回発生したオスプレイの事故の詳細・原因・対処を公表すること。
  • 陸上自衛隊オスプレイの飛行を停止すること。
  • 陸上自衛隊オスプレ飛行を停止停止すること。

    申し入れ書を南関東防衛局へ手渡す石郷岡厚木爆同委員長