口頭弁論概略

東京高等裁判所

被告国が控訴(地裁判決を不服として高等裁判所へ申し立てること)したため
2014年9月26日より、東京高等裁判所で審理されることになりました。

第4回口頭弁論(2015年5月14日)をもって、東京高等裁判所での審理は終了しました。

東京高裁判決言い渡し→2015年7月30日

第1回進行協議 2014年9月26日(金) ・裁判の進行と口頭弁論期日について
・今後出される双方の書面について
・原告側は委任状(民事4030名分、行政60名分)を提出。
第2回進行協議 2014年11月25日(火) ・第1回口頭弁論期日の進行について
・今後の裁判進行について
第1回口頭弁論 2014年11月27日(木) 原告2名が意見陳述に立ち、
@大和市内女性(体調を崩し寝ているときの爆音は、上からだけでなく地の底から響いてくる感じで、回復しようをしている気力・体力が削がれ、気持ちまで追い込まれる。自分との電話をとても楽しみにしている離れて暮らす母親との対話を爆音で遮られ切なくなる)
A原告団長(過去の裁判で何回も違法状態を指摘されているにもかかわらず、かえって爆音被害が拡大している。爆音は自分で自分を守る術のない、空からおそってくる被害)等、訴えました。次に弁護団から、
・差し止め請求について全般
・健康被害について
・相互保証、将来請求、附帯控訴について
・地裁判決の重さと、米軍による被害の救済
が陳述されました。
第3回進行協議 2014年11月27日(木) ・今後提出予定の双方の書面について
・今後の日程確認
第4回進行協議 2014年12月17日(水) ・現地進行協議について
・今後の裁判進行について
第5回進行協議
現地進行協議
2015年1月8日(木) ・厚木基地敷地内の状況、騒音状況を検分
第6回進行協議 2015年1月19日(月) ・提出書面の内容確認
・今後提出する書面の日程確認
第7回進行協議 2015年2月2日(月) ・提出された書面の内容確認
・第2回口頭弁論について
第2回口頭弁論 2015年2月5日(木) これまでに双方が提出した書面、書証の確認を行い、一致していることを確認した。
原告側が1月29日に申請していた原告本人尋問4名(民事訴訟2名、行政訴訟2名)が採用され、次回の口頭弁論で行われることが決定された。
その後、1月8日に実施された現地進行協議の結果について、原告弁護団が補足陳述を行い、「ジェット機が離陸していく様子を基地の反対側から体感してもらい80デシベル以上の騒音を聞いてもらったが、その直下では100デシベル以上を記録している。直下の爆音だけが被害ではない」などと説明。また、飛行差止めについての補足陳述では、「現地で離着陸や飛行の様子を検分してもらったが、一審判決は米軍機の差止めを認めなかった。第3者行為のため、という理由で住宅密集地の上空を飛ぼうが飛行を差し止める術がないのか」と強く訴えた。
第8回進行協議 2015年2月5日(木) ・次回本人尋問についての打ち合わせ
・双方が今後予定の書面の提出時期の確認など
第9回口頭弁論 2015年3月2日(月) 転居・死亡・防音工事など原告の居住状況に関する進捗報告など
第10回進行協議 2015年3月16日(月) ・死亡原告の承継手続きをはじめ全体の進捗について
・第3回口頭弁論について
第3回口頭弁論 2015年3月19日(木) 提出された書証の確認の後、4名の原告本人尋問が始まった。
・大和市内(85W値)の元小学校教員(男性)は、授業中爆音で中断せざるを得ないこと、その後の授業に集中させるのに時間がかかること、じっくり考えるという思考が削がれ学力低下に繋がることが心配であるなど切実に訴え、裁判所には政治に振り回されない判断を、と強く訴えた。
・大和市内(90W値)の主婦(自営業)は、途中で爆音がすると注文個数を間違えないように何度も繰り返し数えなければならないこと、大切にしているお客様との会話ができないことを証言し、耳を塞いでも爆音がなくなるわけではないが自己防衛、気安めでふさぐこと、頭がそのことでいっぱいになり、通り過ぎるまでひたすら耐えること、慣れることは絶対ない、と主張。
・生まれた時からは、航空機が自宅の屋根をかすめるようなもとで暮らし爆音にさらされ心にダメージが蓄積されてきていると思っている。
耳の遠い祖母の介護で会話が聞こえず意思疎通ができないことに申し訳ない気持ちでいっぱいになること、防音工事だけで周辺対策をやってると言ってほしくないと、強く訴えた。
・基地北脇に住む大和市内(90W値)男性は、南北への離着陸音や旋回音のほか、エンジン音、ヘリコプターのホバリング音、離着陸しない航空機のエンジンテスト音がさらに聞こえ、リラックスする時がない、自宅で資料をまとめる仕事をしていても連続して飛来すると通り過ぎる爆音をひたすら聞き、音がなくなるまでなす術がない、裁判所には根本的な問題解決を促すような判決を、と訴えた。
これに対し被告国側の反対尋問の内容は、何の目的での質問なのか不明で、内容のないものばかりだった。
第11回進行協議 2015年3月19日(木) ・日程の確認
・追加提出予定の主張・立証の書面の確認
・第4回口頭弁論について
第12回進行協議 2015年4月13日(月) ・承継手続きの整理について
・転居・死亡原告一覧表について
第13回進行協議 2015年4月27日(月) ・附帯控訴人一覧表について
・5月14日最終口頭弁論について
第14回進行協議 2015年5月11日(月) ・提出された書証等の内容確認・整理
・5月14日最終口頭弁論の内容について
第4回口頭弁論
(結審)
2015年5月14日(木) ■原告意見陳述(3名)
・長期に渡る激甚な被害を受けている男性(大和市下鶴間)
・飛行機の振動にも反応するようになり新コンターになって原告となった女性(町田市)
・米軍機の飛行を差し止めなければ被害は終わらない、と行政訴訟原告を代表して(座間市)
■弁護団意見陳述(5名)
・平成24年以降、騒音や回数は悪化、深夜、早朝、日曜の飛行も増加している現状について(北村弁護士)
・騒音による様々な被害は強い不安感、無力感を抱かせ、被害を避ける術がないこと、新たな被害に関する知見の紹介(関守弁護士)
・民事訴訟について。憲法の定める人権保障の理念を正しく活かすこと、真の人権救済のあり方を問う訴訟であること(佐賀弁護士)
・行政訴訟について。「米軍機について、周辺住民はその運航を差し止める術を持たないのである」とした一審判決は、国民に裁判を受ける権利を保障した憲法32条に違反する。国民の人格権・平穏生活権は米軍機に対しても保障されなければならない(福田弁護士)
・訴え全体について。差し止める術を持たない、とするのは、解決を放棄した、といって等しい。爆音被害に苦しむ周辺住民と争う国でいいのか。(中野弁護士)
■被告弁論(国側代理人)
・生活妨害は重大な損害にならない。海上自衛隊は海上防衛、監視や災害派遣などで貢献している。防音工事も実施している。
■判決言い渡しは、7月30日とする(裁判長)