報告集会で、最高裁判決を覆す決意

委任状の提出後、報告集会が近くのワークピアで14時から行われました。集会は斎藤昌民原告団事務局長の司会で進行され、主催者あいさつの後、支援団体として全国基地爆音訴訟連絡会、神奈川平和運動センターから激励のあいさつを受けました。その後弁護団からの報告に移り、佐賀事務局長より訴状の説明を受け、福田団長より提訴の意義、今後の取り組みなどが報告されました。それからマスコミとの質疑応答を受け、大波原告団団長の「団結ガンバロー」で報告集会を終了しました。

報告集会での発言について要旨を記述しました。(文責 宣伝部)

弁護団報告 福田弁護団長

四十数年前に第 一次訴訟を提訴して、第四次訴訟がようやく夜の10時から朝の6時までの自衛隊機の差し止めを地裁と高裁が認めた。本当にこれは地元の人たちが苦闘に苦闘を重ねてそしてたどり着いた一筋の光明。だから去年の12月8日の最高裁が、地裁と高裁が認めた自衛隊機の飛行差し止めというのをひっくり返したけれども、二つの裁判所が差し止めを認めなければならないだけの重大な被害があるのだと、最高裁自身も被害の深刻性は認めざるを得なかった。

ところがその最高裁は防衛の公共性というのをまた亡霊のように持ち出した。防衛の公共性、厚木基地のための自主規制、住宅防音工事であるとか、周辺対策がある。それらを総合考慮すれば夜間の自衛隊機の飛行の差し止めを認めることは社会通念上相当でないと反論してきました。私たちはその判決を聞くと直ちに第五次訴訟を提訴しようと声明しました。そして本日その声明の約束を成し遂げました。

今回も四次訴訟と同じように民事訴訟と行政訴訟という二つの裁判を起こしました。四次では行政訴訟のほうで地裁と高裁は一部差し止めを認めた。だけれど最高裁も、中身で公共性を優越させたということですが、私たちはその最高裁の論理あるいは行政訴訟でなければだめだという、その論理自体がやはりどこかおかしい、民事訴訟と行政訴訟両方でやはりやっていこうということにしました。

今回は1374名の方が差し止め原告をやりたいという風に手を挙げてくれた。最高裁は否定したけれどもう一度私たちの力でこれを跳ね返そうではないか、そういう意気込みが皆さん方のアンケートを拝見すると、本当にその意欲がよく伝わってきます。

違法だと裁判所が言い続けている状態、異常だと思います。国が自ら50年以上も違法行為を続けて開き直っている。これを許さないのはやはり裁判所が差し止めしかないのだということを宣言する、そのことが必要不可欠だと思います。

そういう意味で改めて最高裁判決を私たちの力で乗り越える。そして本当に静かで平和な夜を作り出すために皆さんの力を合わせて頑張ろうではありませんか。どうもありがとうございました。

原告団全体で頑張っていきたい

第五次厚木基地爆音訴訟団 金子副団長

昨年の12月8日の四次訴訟の最高裁判決、その時に私たちは四次訴訟団、あるいは四次の弁護団としても、五次訴訟をやる、スタートする、こういう宣言をし、今日の五次訴訟の提訴にこぎつけたわけです。四次の提訴の時は準備が一年半余りかかったわけですが、今回は約八か月という非常に短い期間で今日の提訴にこぎつけています。

そうした点では今度の五次訴訟に対する住民の皆さんの、本当に静かな空を取り戻したい、こういう思いが短期の原告募集にもつながりましたし、1300名を超える飛行差し止め原告という、大きな力になっていると思っています。

昨日は厚木基地の司令官の交代式がありましたが、厚木基地の重要性は今後も変わらないというのが新しい司令官の発言でした。岩国に艦載機部隊が移駐しようと厚木の重要性は変わらないという、このことを何としても打破していく、そして、岩国・厚木・横須賀の空母の母港ということも含めて私たちはこの裁判を通じて跳ね返していきたい、そんな思いで今日はスタートしたわけです。

皆さんと一緒にこの神奈川で、厚木基地の爆音訴訟が全国の先頭を切って闘っているということ、そのことを確認しながら今日の主催者のご挨拶にしたいと思います。

原告の一人としての想い

神奈川平和運動センター 永田事務局次長

私は中央林間に住んでおりますが、住民としての率直な気持ちをお伝えして、皆さんと共感出来たらなと思います。

私は高校の教員で当時座間市の高校に9年間務めておりました。その時はあまりにひどい騒音で授業が授業にならないということを何回も経験してきました。テストがあったときは試験監督をしているのですけれど、窓を見ると飛行機が飛んでいくのが見えるのです。

紙に1機、2機、3機目、4機目という風に書いたこともありました。日本はものの豊かな国ですけれど、教育においてこんな騒音に悩まされながら勉強しなければいけない、本当に教育についてはなんて貧しい国なんだと、本当に怒りでどうしようもなくなって、原告団に入りました。それから約20年たちました。先ほど子供さんに英語を教えている方とお話ししたのですけれど、今の状態もそんなに変わっていないというお話をいただきました。20年たったけれども状況は変わっていないのだなということ、本当に悔しい思いです。その思いをこの五次にぶつけていきたいと思います。

基地は沖合移転してもうるさい

岩国訴訟団団長 津田利明

岩国裁判が起こせたのも、一審で勝訴できたのもこれは厚木あるいは全国の訴訟団がつけていただいた筋道があって勝ち取ることができました。控訴審の時に国が全く新しい空港を作ったと主張しました。だから騒音はなくなったと。

私は過去、国会に質問主意書を出しました。その時には、新しい空港ではない、移設だから今のままという回答でした。今回は全く違う主張をしています。

厚木の司令官が交代するとニュースが流れました。そのあいさつの中で爆音問題に全力で取り組むと。全力で取り組んだのならこんなに長く爆音に苦しめられることはなかっただろうと思います。

岩国市民は滑走路が沖合に移転することで爆音がなくなると期待していたのですけれど、いまだにひどい騒音があります。

岩国も頑張りますのでこれからも厚木の皆さんも全面的に勝利できるように頑張ってください。

飛行差し止めへの挑戦に敬意

新横田訴訟団団長 大野芳一

新横田訴訟第二次訴訟は今年3月1日に結審が決まり、年内に判決という運びと思っています。ただ、情勢は厳しいということがありまして、目下裁判所に向けて公正判決を求める署名運動を取り組んでいるという状況です。

自衛隊機の差し止め、あるいは将来請求の損害賠償を勝ち取るという画期的な成果が、最高裁によってすべてひっくり返されるという事態で第四次厚木の結末となってしまったわけですが、この結果を引きずることなくさらに立ち上がって第五次の闘いによって差し止めの実現をさらに期すという、大きな展望をもって立ち上がってこられたということについて心から敬意を表したいと思います。私どもにとっては皆さん方の闘いは成果だけにとどまらず、エネルギー、闘いのやり方についても学びながらこれからの運動にぜひとも生かしていきたいと思っております

すさまじい横田基地の強化

横田訴訟団 棣棠(ていとう)事務局次長

厚木の第五次訴訟を立ち上げるという、粘り強い闘いに心から敬意を表します。岩国基地が東洋一の大基地に変貌するというお話がありますけれども、横田もご多分に漏れずここ数年、着々と米日豪との演習体制が整うと同時に、世界状況も受けて横田基地の強化というのはすさまじいものがあります。オスプレイについては今年3月に、横田に2週間以上いついて5機ないし6機、横田を経由して新潟、群馬での訓練が公然とやられるようになってきております。嘉手納で中止されておりましたパラシュート降下訓練、これも公然と横田基地で頻繁に行われています。

横田では9月15日に現地検証が準備されています。来年春に証人尋問を行い、夏に結審をするというのが横田の第9次訴訟の状況になっています。

厚木の闘いが大きな成果を上げてきている、それを横田でも実現するために全力を挙げて取り組んでいければという風に思っております。